実は一番身近な酸はクエン酸なんです。
このブログは理系旦那と文系妻による
家で出来る働き方改革を掲載しています。
クエン酸で水あか掃除
水あか掃除にクエン酸
水あかの主成分は炭酸カルシウム
炭酸カルシウムは酸に溶けるので
クエン酸でも溶かすことができます。
CaCO3 + C6H5O7 → カルボン酸塩Ca + H2O + CO2
※係数省略
身近な酸には他にもありますが
なぜクエン酸かというと
- 安価。値段が安い。
- 柑橘系の香り不快感が少ない。
他にも身近な酸でいうと酢酸 つまりお酢ですが
匂いがきつく掃除用品としては向いてないです。
無水クエン酸
今回使用するクエン酸は
百円均一のお店で購入した
無水クエン酸。
スプレー用のボトルも合わせて購入しました。
無水クエン酸と表記されています。
購入する場合は無水クエン酸がベターです。
その他には一水和物の水分子が
1個取り込まれたモノがあります。
こちらは固化して、取り扱いずらくなる
のでオススメしません。
また、少し分子量が異なるので
当ブログの濃度計算から少しズレるので
ご承知おきください。
さて、この商品スプレーする場合は
水200mlにクエン酸50gと書かれています。
ではこの通り実験!…だと
既に↓のような記事が沢山あるので
理系が本気出して
高濃度のクエン酸溶液を調整し
水あか掃除してみます。
クエン酸はそれなりに強い酸なので
シンクや食器を痛めてしまわないか?
金属が溶けて体に害がないか?
調査していきます。
濃度とは?
濃度ってなんだ?
私も苦手でしたが
ざっくり言うと
どのくらいの箱に
どのくらいモノが入ってるかです。
濃度はpHで表すと便利なので
こちらを用います。
ペーハーと呼びます。
(昨今の指導要領ではピーエイチと呼ぶやように統一されています。)
pHは液の濃さのことです。
今回は水という箱に
クエン酸というモノを入れます。
濃いほど強力な酸になります。
pHは数字が小さいほど強い酸です。
酸の強さは
pH1>>pH3 です。
いろんなpHにするのに
何リットルの水に(箱に)
何グラムのクエン酸(モノ)
を溶かせばいいのか不明なので
計算していきます。
濃度を計算
用語や記号の解説
クエン酸の化学式はC6H8O7です。
Wikipediaの画像より引用
8個 H を持っています。
水に入れるとこのHがポロッと取れます。
取れるとH2O(水)と合体して
H3O+になります。
この取れたHの多さが酸の強弱を決めます。
水の中にどれだけH3O+がいるか
これが濃度です。(+は上付きです。)
[ ]←このカッコでくくられている文字は濃度を表します。
[ C6H5O7 ] と書き表すと
C6H8O7の濃度
という意味になります。
じゃあ[H3O+]と書くと?
そうH3O+の濃度になります。
しかし化学の世界では
簡略化して記述するために
[H3O+]を[H+]と表記します。
[H+]を求めると酸の強さがわかります。
先ほど説明したpHは
pH = -log[H+]
と書くのでpHを求めると[H+]を求めていることになります。
ではクエン酸のpHを計算します。
濃度計算式の誘導
ここの計算は正直難しくて複雑です。
化学系の一部の大学生じゃないと
やらないレベルの話しです。
ややこしいのは
3つの酸解離定数考える必要が
あるからです。
クエン酸は意外と面倒で複雑な酸なんです。
手書きで導出したので写真で載せます。
理系学生は参考にしてください。
それ以外の人は無視でOK。
式が誘導できました。
エクセルで計算
後はエクセルに式を書いて計算させます。
というのも手計算すると複雑すぎて間違える可能性が高いので
参考に写真を載せます。
モル濃度のセルに
先ほど誘導した式を書き込んでます。
エクセルのセルの中身が見えるように
写真撮りました。
What-if分析のゴールシークを使って
数式が苦手でも簡単逆算! Excelゴールシークは知らなきゃ損 | 本当は怖いExcel(エクセル)の話
目的のpHにするためのモル濃度cを計算させました。
モル濃度がわかれば
何リットルの水に何グラムのクエン酸を
溶かせばいいのかわかります。
クエン酸量とpHの関係
試しに200mlの水にクエン酸を入れた場合の
pHのグラフを書きました。
pH2を超えたあたりからクエン酸を足しても足しても
中々pHが減りません。
水の分量さえ間違わなければクエン酸は
非常に安全に使えることがわかります。
pH調整をしやすい酸ともいえます。
水の量とクエン酸の量
先述の計算式を用いて各pHの
クエン酸と水の量を計算しました。
上述の難しいこと考えなくても、この水の量とクエン酸の量でクエン酸水を作ればOKです。
一般に使うなら100mlの水に2.8gのクエン酸をいれましょう。
クエン酸水が多めに欲しいときは等倍すればOKです。
2倍欲しいなら200mlに5.6gという具合です。
pH1.5 | pH1.8 | pH2 | |
水 | 30ml | 50ml | 100ml |
クエン酸 | 8.1g | 3.5g | 2.8g |
水の量(箱)が小さくなり
そこに入るクエン酸(モノ)が
多くなるとpHが小さくなり
酸として強くなっていることがわかります。
ちなみに商品説明にあった分量
水200mlにクエン酸5gいれた場合を計算すると
pHは2.03になるようです。
このように入れる水の量に対しては鈍感な酸なので簡単にpH調整ができます。
次回はいよいよ
調整したクエン酸溶液で水垢掃除を
していきます。
次の記事はこちらです。
高濃度のクエン酸を使って水垢撃退!? - 理系旦那と文系妻のお家働き方改革
参考文献 動画
クエン酸によるカルシウム系汚れの洗浄に関する消費者情報の実験的検証
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jchemsoft/7/4/7_4_191/_pdf/-char/ja